集団食中毒

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集団食中毒

「春山総長! 大丈夫ですか?」 「いや、ダメだ……。腹がピッピーだよ。グルグル言ってらぁ。ちくしょうーー。今日は全国区から集まる大事なフェスティバルだっていうのに」 「よりによって何でこんな時に集団食中毒なんてーー。総長、あの店潰してきましょうか」  山在県(やまありけん)薮坂(やぶさか)町から集団食中毒が出た。それもその地域の暴走族がフェスティバル前夜祭と題して、20名弱で焼肉パーティをしたときのことだった。弱小暴走族とはいえここの総長は相当の強者で、ケンカの強さでは全国トップ10に入るほどだ。  そこの新人梶本ワタル17歳は、家庭の事情で焼肉パーティに参加出来なかったひとり。 「ワタル……朝から呼んで悪りぃ。今日のフェスティバル、俺の代わりにお前が行ってくれないか」  春山はベッドの上でつらそうにうずくまっている。  
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