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俺はさなえの入ったバッグを持って、いつも散歩に行く河川敷の公園へ向かった。
公園では、子供たちがサッカーをしたり、野球をしたりしている。
「着いたぞ、さなえ。」
俺はバッグから、さなえを取り出した、陽の光がまぶしいのか、いつもの顔が出てこない。
「まぶしいのか?せっかくだから、芝生の上に置いてやるよ。芝生の感触はわかるか?」
そう言って、緑の芝生の上にさなえを置いた。まだ、さなえは動かない。
陽の光に当てるとだめだっけ?そんな注意書きあったかな?
サッカーボールでパスをしている子供たちを眺めながら、とりあえずベンチに座った。ぽかぽかとして暖かい散歩日和だ。
足元のさなえは、さっきから一言も話さないが、もしかすると、気持ちよくて眠っているのかもしれない。
連れてきてよかった、とベンチの背もたれに持たれた時だった。
サッカーのボールがこちらに転がってきた。
へたくそだなぁ、と見ていると、子供がやってきた。
「すみません!ボール転がっちゃって。おーい、行くぞ!」
そう言って、向こう側にいる友達にボールを蹴るように足を上げた。
おい!
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