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―二〇九二年 民間人含む七名が火星に到着。総員四七名―
その年到着したのは、予定の二〇名の交代要員ではなく、探査計画最大の出資者の孫御一行と技術者二名だった。
彼等は待望の最新設備―― ECLSS、ローバー、電源、ロボット等々と補給品の数々を運んだ。
麻薬や快楽と共に。
―二〇九三年 死亡事故発生。民間人と一部クルー帰還。総員二九名―
麻薬でラリった五人の新参クルーが、水素タンク一基と電源設備三割とを道連れに死んだ。火星基地の物質循環にヒビを入れる、大打撃だった。
そんな中、民間人の二〇代女性が倒れた。
子宮外妊娠だった。
対処できる体制も設備もない火星で、彼女は死んだ。
パニックになった出資者の孫が与圧部内で拳銃を打ち、弾がモーガンと基地装甲を貫いた。
基地の一部は破棄された。
一命を取り留めたモーガンは、民間人や一部のクルーと共に地球に帰還した。
――
「周波数変更」
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