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―二〇九四年 無人補給機到着。以降、人員含む補給および地球との連絡回線が途絶。総員二九名―
「これが希望の終焉だなんて、私は絶対に認めない!」
リンが叫んだ。クルーが頷き、火星での生存を誓った。
火星の氷は、まだ手に入らなかった。
―二〇九六年 予定外の小型輸送機が到着。積載物は数体の殺戮機械。総員、溶岩洞の避難基地に退避。途中、襲撃で一二名が射殺―
射場がまず破壊された。退路は絶たれた。
避難基地の物資には限りがあった。
地球に向けて救援信号を打っても、応答はなかった。
射殺か、餓死か。
リンたちは第三の道に賭けた。
救援を、直に求めに行く。
―二〇九七年 生存者一七名。マリア・カミンスカ、リン・サワノがダイモスへ脱出。さらに、ダイモスからリン・サワノを緊急帰還ポッドで地球圏に送還―
「周波す」
「こちら月政府ジョー・ムライ。リン・サワノ博士、応答願う」
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