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「調子に乗んなよ、ブス」
沈黙が流れ、空気が凍る。
柳ヶ瀬くんの一言で誰も何も言えなくなった。
普段からそんな人なら何も思わないだろう。
でも全然毒を吐くような人間には見えないから、余計に驚いている。
きらきらの笑顔で中指を立てたその姿は不覚にもかっこいいと思ってしまった。
それは色々とまずいんじゃ…。
幸いにも先生がいないことが救いだ。
「……乃衣ちゃんのこと貶すだけじゃなくて柳ヶ瀬の地雷まで踏んじゃったみたい」
「地雷?」
「そ、地雷。だって柳ヶ瀬も乃衣ちゃんと一緒で両親いないんだよ」
名塚くんが苦笑いを溢しながら、私にコソコソと伝えてくる。
私と同じ、なんだ。
「可哀想だな」
もう1度、唇が動く。
ビクッと肩が震えてその声の主を振り返れば、私ではなく高田さんを見ていた。
「お前こそ、高校生になっても他人を罵ることしか出来ねぇって“かわいそーう”」
高田さんに言われ放題だった被害者の私よりもキレている。しかもアイドルのようなきらっきらのスマイルで。
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