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「そういうの、うぜーから」
全ては醜い女の妬みから始まった。
「なんであんたみたいな女がチヤホヤされてるわけ?」
「仕方ないじゃん。私の方が可愛いんだから」
濃いメイクを施した口調のキツい女と、メイク無しでも整った顔立ちの女が向かい合ってバチバチと火花を散らす。
それは当事者以外からすればどうでもいいことだ。
「うわ、また高田が乃衣ちゃんに絡んでる」
隣にいる名塚は目を細めて、女2人の言い合っているその光景を興味津々に見ている。
クソどーでもいい。
飾り立てたところで特に何も変わらない興味さえも湧かない女だ。
「あれは完全なる妬みだなぁ、かわいそ、乃衣ちゃんが」
感情が込められていない棒読みの同情の言葉。
頬杖をつきながら名塚の視線が刺す方を見る。
呼び方からどちらの味方に付いているかは定かだ。
大きな欠伸を漏らすと、目に涙が溜まる。
良くも悪くも目立つ2人。
だから教室中の視線はその2人に釘付けになっていた。
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