こわーい魔女先輩

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「いい加減、私のことなんて放っておいた方がいいんじゃない? 怒る体力の無駄でしょ?」 「むっ……だが俺は」 「君に更生してほしいんだ、でしょ? 悪いけどそんな気さらさらないんで」  じゃあ、と手を振って廊下をダッシュする。生真面目な岩山は絶対に廊下を走らないからこれで逃げ切れるはず。  角を曲がってすぐの空き教室に素早く入って息を潜めた。外から岩山の私を呼ぶ怒号が通り過ぎるのを待ってからそーっと外に出る。 「我ながら忍者になれそう」 「ならもうちょっと落ち着いたかっこうしないとね」 「!」 「追いかけっこご苦労様」 「なんだ怜子か……」  ほっとしたところで急に声をかけられたからびっくりした。友達の木村怜子も私より落ち着いているとはいえ服装は崩している。  だけど岩山は見かけてもあんなに怒鳴ったり追いかけたりはして来ない。私に対してだけあんな態度をとるんだ。 「あーもうジュース買いに行こうと思っただけなのにこの仕打ち。いつになったら平穏な学生生活を送れるのよ」 「そりゃ芽依がその服をやめるか岩山が諦めるかのどっちかだね」 「……どうすれば諦めてくれるのかなあ」
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