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「さあねえ。そんな困ってるなら魔女先輩に相談してみたら?」
「魔女先輩? 誰それ」
「知らないの? 3年の馬寺葉子先輩」
初めて聞く名前に首を横に振ると怜子は詳しく教えてくれた。
3年A組に在籍する馬寺先輩は化学部の部長で、かつては日本にも存在して魔法使いの末裔らしい。時々悩み事の解決に魔法をつかっているらしく、生徒から教師まで慕っている人は多い。
「依頼を受けるかは気まぐれらしいんだけど、解決率100パーセントらしいよ」
「100パーセント?! マジで?」
「まあとにかく、ダメ元で相談してみたら? 助けてくれるかもよ?」
「うん! ありがとう怜子!」
怜子の手をとり大げさに振ると「気に入られないと元も子もないんだからね」と釘を刺されてしまった。
それでも希望が生まれたんだ。さっそく今日の放課後、いつもいると噂の化学実習室を尋ねてみることにした。
〇
化学実習室は特別教室が集まる棟の1階奥にある。理科選択の授業では生物を選んでいるから入るのは初めてだ。コンコンと軽くノックすると「はい」と女の子の声が返ってきた。
「失礼しまーす。魔女先輩いらっしゃいますか?」
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