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「……私だけど」
「え、あなたが?」
「そうよ。こわーい魔女先輩、よ?」
不気味な笑みを浮かべながらそんな冗談を言っている馬寺先輩は思っていたより小柄だった。だぼだぼの白衣を着ているから余計にそう見えるのかもしれない。黒い髪をひとつにまとめて、丸い眼鏡をかけている。目はちょっとたれ目がちでメイクなんかはしていない。魔女というよりはリケジョって感じだ。
「それでご用件は?」
「あ、そうだった。……あの、友達から魔女先輩の噂を聞きまして」
「噂? どんな?」
「悩み事を聞いて、気に入ったら解決してくれるって」
「ちょっと違うわ」
「えっ」
「気に入れば、じゃなくて内容を聞いて対処できそうものか、対価を得られそうな相手か、よ」
「た、対価ってお金ですか?」
「金銭のやり取りは面倒だからやってない。まあ、対価の話しは置いといて。あなたの悩みを聞いてもいいかしら?」
「えっ」
「大丈夫、話を聞いて無理そうならちゃんと断るし対価も発生しないから」
「……じゃあ、えっと2年A組の岩山誠一郎って男子のことで」
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