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言われてみれば無償でやってくれるなんて怜子は一言も言ってなかったし、魔女先輩だってメリットがないことはやらないよね。
どんな対価を求められるのか内心ビクビクしながら岩山のことを相談した。私に対してのみ怒ることや、見かけるたびに追いかけられてうんざりしていること。
私が話している間、魔女先輩は時折手元でメモをとっているようだった。何をそんな書き留めることがあるんだろう。
「って感じなんですけど」
「なるほど、それは面倒ねえ……ひとつ聞いていい?」
「何ですか?」
「岩山に怒られたくないのか、その服装を続けたいのか。あなたの願いはどっち?」
「……それおんなじことじゃないですか?」
「違うわ。岩山に怒られたくないならその服装をやめれば解決するでしょう? けど、その服装を続けたいっていうなら、色々やるようだけど」
「色々、とは」
私の問いかけに魔女先輩は何も答えずニヤリと笑った。ちょっと怖い。
「で、どっち?」
「……この服装を続けたいです。だって、大好きだから。今の自分が」
「なるほどオーケー。いいわ、あなたの依頼受けてあげる」
「!」
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