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「本当に困るんだ。ていうか、困ってるんだ」
昼間のカフェのテラスにて、青年は緑茶の茶葉をちまちまと掬い上げながら文句を繰り返した。
「うんうん」
「花袋も思うだろ?」
話を振られ、向かいに腰かける花袋と呼ばれた癖毛の男はへらりと笑う。
「うん、まあねえ」
「これじゃあ規則が何のためにあるのかわからないじゃないか」
「うんうん」
癖毛の男は相槌を打ちながら珈琲をすすった。
「時に秋声くん、お茶菓子ないかな」
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