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「徳田少年とあの子が二人きりで宿泊かい? 大丈夫なのか?」
透谷が肩をすくめて揶揄すると、花袋は苦笑した。
「まあまあ、そこは信じてあげようよ。彼はあれでなかなかしっかりした人だよ」
「その言い回しもなかなか失礼だけどな」
国木田はそう笑いながら、くるりと踵を返して研究所の机に向かい歩を進める。
「じゃ、計画実行に際して、確認と行こう」
三人が集まったのを見計らい、机に広げた見取り図を示した。
「中央舎の地下一階がここ、監視兼研究所だ。
上には会議室やらお偉いさんの仕事場が連なってるわけだが、研究所のさらに下──地下十階には、禁域、魂の清算工場がある。
ついでに言えば、その一つ下の階である最下部十一階には、俺たちがあの子を連れて行こうとしている最禁域、転送装置があるわけだ。うまく動くかはわからんがな。
まあこんなのは周知の通りだが……。
今回目指すのは地下十階──魂の清算工場にある記憶操作装置。
そいつの大きさ次第だが、壊すなり盗むなりして、記憶操作を妨害するのが目的だ」
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