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(でもわたし、今朝は普通に登校して)
記憶を整理しようと、順序だてて回想する。倉庫の掃除をしたこと。朝起きて蒲団を上げて制服を着て、祖母の朝食を食べたこと。それから登校して……。
気がついたら、どこか普段通りで、どこかおかしな路地の一角にいて、迷っていたこと。
どこからおかしかったのか、まったくもってわからない。
今ここでさえも、よく見かける町中の、なんの変哲もない喫茶店のテラスだ。行き交う人も、さわさわと波打つざわめきも、なにもおかしくはない。
けれど寒気のするような違和感がある。看板の文字が、何故か読めない。異国に投げ出されたかのようだ。
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