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「ところで、皆さんお揃いのお洋服ですね。何かの制服ですか?」
話を変えようと切り出すと、ふたりは顔を見合わせた。苺を飲み込み、藤村は花袋を視線で促す。
「はは、これね、うん、制服みたいなもんかな。
秋声くんがちらっと言ったかもしれないけど、おれたち、死んではいるけど普通にこの世界で働いたりしてるのね。
それで、おれたちは揃いも揃って霊魂管理局──名前の通り霊魂の管理を司ってるチームのメンバーってわけさ」
「霊魂管理……なんだか大変そうですね」
伊織は改めてふたりの衣服を見る。限りなく黒に近い濃紫色の詰襟に、それぞれの好みなのだろうか、襟元にカラーを着けている。
藤村は濃紫、花袋は襟元を緩めて濃い桃色を着け、確か秋声はぴっちりと着こなして山吹色を着けていたように思う。
スーツの襟元にはピンバッジが二三個つけられていて、チェーンでそれぞれを繋いであった。管理、という字面よりは学生か軍人の方がどこかしっくりきた。
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