27人が本棚に入れています
本棚に追加
数分ほどして、戻ってきた藤村は何やら考え深げに沈黙しながらPHSをポケットにしまった。伊織は少々不安になって、藤村を見上げる。
「あの……何かあったんですか? わたしのこと……?」
藤村はこくりと頷く。花袋が湯呑に茶を注いで、藤村の前に置いた。
「まあまあ、座んなさいよ」
「うん」
藤村はきちんと正座して、今度は湯呑をじっと見つめる。
「藤村くん」
促され、藤村は顔を上げた。黒く塗りつぶされたような大きな瞳を、伊織にまっすぐと向ける。
「立花伊織さん」
「は、はい」
伊織も思わず崩していた足を正座に直し、背筋を正した。
「霊魂管理科本部へ、ご同行願います」
最初のコメントを投稿しよう!