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連れて来られた部屋は、重い空気が漂っていた。会議室、というには暗すぎる。
暗褐色の闇を、朱色の炎がわずかに取り払っている。暗い紅色のカーテンは重く閉じられ、何かいかがわしい儀式の部屋のような印象すら与えた。
「ごゆっくりでしたね、島崎藤村先生」
「……相変わらずお元気そうで何よりだよ、芥川くん」
部屋のコの字型に置かれた席の角に座る芥川と呼ばれた美しい男が言えば、藤村もうっすらと笑んで答える。その応答を、切り揃えた黒髪を揺らして芥川は黙殺した。
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