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 金縛りの最中に力んでいたのか、肩が凝り固まっている。腕を回してほぐしながら、ハンガーにかけておいた真新しく──はない紺色のセーラー服を取る。  姉のお下がりであるそれは、着てみると少々袖とスカート丈が大きい。身長も横幅も小柄な伊織と身長168センチもある姉のサイズが合うはずがないのだ。  幾度となく口をついで出た文句を繰り返しかけ、伊織は首を振る。  今日が高校生活の初日なのだ。少しくらい上機嫌で過ごしたい。 「伊織ちゃん、起きてるの?」  祖母の声が階下から聞こえ、伊織は急いで鞄を引っ掴んだ。 「ごめん! 今行く!」
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