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 和食の、量の多くないもののバランスのしっかり取れた朝食を取り終え、伊織は鞄を手に玄関へ向かう。 「伊織ちゃん、お弁当」 「ありがと、おばあちゃん」  祖母から弁当の風呂敷包みを受け取り、鞄の底に入れ込んだ。 「ああ、そうそう。昨日は倉庫の掃除ありがとうね。すっかりきれいになって」  その言葉に、昨日は腰の悪い祖母の代わりに倉庫の掃除に精を出していたことを思い出す。 「いいのいいの、若いのに任せてよ」  力こぶを作る振りをしてみせ、伊織は笑う。  おばあちゃん子の伊織は祖母に甘い。母相手だと素直になれないこともあれど、祖母の前では素直な良い子になることができた。  この穏やかな祖母が高校の近くに住んでいて良かった、とさえ内心思う。
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