入社

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「ちょっと、頼んでもいいか?声をかけるが返答がなくて」 「いいですよ。専務」 やはり、ここのお偉いさんなんだ・・・ どうしよう・・・ カツカツとヒールの音をたてながら、近くに来ると『大丈夫?どこの会社の人?』と声をかけられた。 「すみません。気分が悪くなってしまって・・・。 ここの新入社員なんですが・・・」 小さな声で呟くと―――― 聞こえたようで『ありがとう、助かったよ』と男の人が言えば『お役に立てて光栄です』と甘えるような媚びるような声をあげる女の人。 すると体が宙に浮いた為、思わず『キャア』と悲鳴を上げた。 「医務室に運ぶ」 「すぐに連絡します」 気持ち悪くて口を押えた。 彼のスーツから香水の匂いも漂って・・・ その匂いがさらに、過去を思い出しそうで気分が悪くなった。
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