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主は温かい光の中でお目覚めになられたのです。
「はー、よく寝たな。え、なにこれ海が緑色……」
寝ている間に大地のあちこちで噴火が発生し、空には二酸化炭素が増えました。
噴煙が雨をもたらし、空と大地の養分が海へと流れ、やがて晴れました。
そして天敵のいない藍藻類が爆発的に増えたのです。
岩に張り付いて見事に栄えた藍藻は大量の酸素を生み出しました。
少しずつオゾン層ができていたのです。
「藍藻類って食えるのかな」
デミ様は藍藻を集めて板状に乾かした物を作りました。
ひと思いに囓ると、それは豊かな海の味でした。
「不味くて無理」
ですよねぇ。
海苔の多くは緑藻類や紅藻類であるため、藍藻で海苔を作っても美味しくないでしょう。
「藍藻類を食べる生き物一覧……エビ、こいつ美味そう!」
デミ様はエビを作ろうと思いましたが失敗作だったので海へ捨てました。海洋投棄反対!
「おー、なんか食ってる食ってる。もっと簡単なやつで癒し系が欲しいな……ヤツメウナギかぁ……棒みたいだし作るの簡単だろう」
デミ様はウナギを作ろうとしましたが神として半人……半神前なので透明なナメクジのような物体を作りました。海に捨てました。当たり前のように捨てるな。
「じゃあこのホヤとかいう物体作ってみるか」
出来上がったのはオタマジャクシのような異形の何かでした。だめだこいつ。
「このヒトデとかってやつならいけるだろ」
のっぺりした石のようなものが出来上がりました。もう知らん。
「才能ねえのかなぁ。とりあえず寝よ」
……
「おーい兄者! 兄者! 起きろ!」
「なんだぁ、ヤルダか……」
「下見ろって! なんかすげえぞ」
「は? 何あれ知らない」
海の中には奇妙なエビ、聖なる爪のエビ、岩の王のエビ、ほっそりした魚みたいなやつ。そして海の中には草原があり、岩のような生き物が住んでいる。多種多様の生命に溢れた素晴らしい海が出来上がりました。さすがは我が神でございます。
「何あれ……あんなの作った覚えない。つーか数が多いんじゃ。1回海茹でてリセットするか」
「待て兄者、あれで成功だ。こうなればあとは放置しておくだけで世界がどんどん発展していくぞ」
「マジで?? もう働かなくていいのか!?」
いうほど働いてたか?
「兄者の世界が上手く回っているようで良かった。我は帰る。また世界を作らないと」
「どうしたんだ? 発展してたんじゃなかったのか?」
「なんか人間が核撃ちまくって世界を滅ぼした」
「やっぱ人間ってクソだわ」
ヤルダ様が帰った後、デミ様は再び眠りにつかれたのでございます。
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