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神は初めて人を作ったのでございます。
「そろそろ人ってやつが作れるかな〜?」
デミ様は自分とそっくりな姿形をした《人》をお作りになりました。
「自分に似てるやつは作るの簡単だな。これを大地に置いとけばいいだろう」
人はすぐに死にました。
「は? 人間ざっこ!」
大地は未だ草も生えず、岩しか無いので、餌がなくすぐに死にます。
「大地に草がないのが問題なのか? 草生えるwwww」
「よーっす兄者」
「ヤルダか。人はか弱いのう」
「そりゃ岩の上で生きられる生き物なんて苔くらいだろ」
「苔? 苔ってなんだ?」
「千代に八千代に岩に張り付くんだよ」
「人生それでいいのかな……」
寝てばかりの創造神もどうかと思うが。
「兄者の海の中、緑藻類が出てきたから……その内、植物の陸上進出が始まるぜ」
最初の陸上植物の先祖は緑藻類のうちアオミドロ類と考えられています。
陸上へ上がるためには、乾燥、重力、そして紫外線への対策が必要となります。
「我は寝るかな。果報は寝て待てというし」
「いや時間いじればいいだろ」
「え、そんなことできんの?」
「マニュアルに書いてあるぞ」
「我は寝るかな果報は寝て待てというし」
いうほど果報か?
「そか。また来るわ。じゃあの」
ヤルダは自分の世界へと戻って行きました。
我らがデミ様が再び目を覚ますと、大地は緑に覆われていました。
植物の陸上進出が遂に始まったのです!
「おお、すげえ! 火つけてみよ」
神の力で大地は再び岩の塊に戻りました。
しかし無駄ではありません。
植物が陸上に進出したことにより、有機物が地上に堆積し、岩が少し砕かれて植物が成長しやすくなっているのです。
しばらくすると大地は再び緑に覆われていくのでした。
その頃、海の底では火山活動が活発化していました。
地殻変動も手伝ったおかげで、大地に弟が生まれました。
「お、なんか2個目の大地ができたな。我から見て右側をアストリア、左側をニーベルラントと名付けよう。早速ニーベルラントに岩を落として遊んでみよ」
暇潰しに大陸潰すな。
ニーベルラントに岩を落とすと地殻が壊れマグマが吹き出し砂塵が舞い上がりました。
衝撃がプレートを刺激したため地震が起き、アストリアを津波が襲いました。
アストリアに陸上進出をした植物はまた1から進出のやり直しを余儀なくされました。
大地は崩壊の一途を辿っていきます。
何してくれてんの。
「やっべ、なんかやりすぎたかもしんね。寝よ」
ええ……。
…………
「あー、よく寝た。大地はどうなったかなぁ……? あ? なんかでかい植物が生えてる!?」
津波や噴火、地殻変動、嵐のおかげで大陸には山や谷が出来上がりました。
高低差のある地形は、水の流れを作り、淡水域と海水域を分けるに至りました。
「海もすっげー! でっけぇ魚が泳いでる!」
デミ様は早速魚を釣り上げました。凶悪な歯を持っているようです。
「おーっす兄者……うわデカ!」
「ヤルダか。こいつ食えるかな」
「フカヒレスープに丁度いいんじゃねえの?」
デミ様の寛大な計らいで、ヒレのないサメは海へと帰っていきました。
「美味いなあ。こっちの世界はまた人間が核撃っておしまいになるとこだったわ。自然のモノが汚染されてみんな不味くてよ」
「全滅しなかったのか?」
「最初の1発で終わったからな。その後は撃たずに済んでる」
「人間って必ず発生するのか? 粛清すればよくね?」
「いやいや、我らの目的は新たな神を作ることだから、人間がどれだけ愚かであろうとそれだけは覆せんのだ」
「そうだったのか」
知らなかったのか?
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