神が創りしは大地でも空でも海でもなく、ロマンだったのです

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神が創りしは大地でも空でも海でもなく、ロマンだったのです

「はー……よく寝た」 「父様、何やら巨大な生き物が増えているみたいよ」 「なんだってー!!??」  眼下に跋扈するは、二足で歩く巨大な爬虫類にも見える巨大生物です。  大絶滅から一気に跳躍し、イクチオステガもディメトロドンも(寝てたから)スルーして、誕生したのは、かの有名な恐竜だったのです。  メガネウラやアースロプレウラなどの巨大節足動物もスルーしました。尺の都合です。  恐竜は爬虫類にも見えますが、鳥のご先祖様です。爬虫類との違いは足が骨盤に対して真っ直ぐ下にあることでしょう。二足歩行で大地を支配した初めての生き物ともいえます。  今日の七面鳥やダチョウやニワトリを見ればお分かりの通り、鳥というのは二足歩行です。 「いやでかいわ。20mくらいあるじゃん。やだよあんなの」 「そう? カッコよくていいじゃない」 「我らよりでかいじゃん。食われるわ」 「神が食われるわけないでしょ。むしろ従えられるわよ。玉乗り仕込んでみたら?」 「今こそアドベンチャーってか? ガハハ!」  デミ様は恐竜王国をしばらく観察することにしました。  巨大な生き物が地上を闊歩し、食い食われの競争をまじまじと見るのはこれが初めてでした。  命の壮絶なやりとり。恐竜たちは必死に生きようと毎日戦いの日々でした。  デミ様は生きるために戦う恐竜たちを見ていたく感動した様子でした。 「これ……岩落としたらみんな死ぬんか?」 「やめなさい。みんな死ぬわよ」 「やっぱり? ほいっと」  デミ様はあろうことか大陸の1/4はあろうかという巨大な岩を投げ落としましました。何してくれてんの。  岩は大気との摩擦熱で火を吹き、表面を溶かしながら、大陸と海の境へ落ちました。  その衝撃は計り知れません。  砂塵が舞い上がり、超巨大な津波が発生しました。  大気は灰色になり、大地は津波に飲まれました。  衝撃で噴火が起こりました。いやもう大地ブチギレでしょこれ。  本当に何してくれてんの。  「おお、すっげ! あんなにデカい恐竜が押し流されてく!」  いやサイコすぎる。読者もこんなの読んでたら気が狂うから別の作品を読んだほうが良いでしょう。  光が全て空の砂塵に吸われ、地上は一気に冷えました。いくつかの土地は氷が覆い始め、植物は枯れていきます。  植物には適切な光の他に温度も必要です。  どちらも奪われてしまったこの環境では、僅かな植物しか生き残ることができないでしょう。 「スクラップアンドビルドってやつだな!」 「スクラップアンドデストロイな気がするけれど」 「いつも通り寝て起きたら何とかなってんだろう。おやすや!」  こうしてデミ様は大絶滅を引き起こしてその責任を取ることも良心の呵責もなく深い眠りについたのです。狂ってる。
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