人類は霊験あらたかな主の力を感じたのです。

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人類は霊験あらたかな主の力を感じたのです。

 お待たせしました。  遂にホモサピエンスが誕生したのでした。 「父様、遂に人類が誕生したらしいわよ」 「ほんとぉ? おお! あれがヒト! 人間!」  人間は火をおこし、洞窟に住み、投槍や弓を使って暮らしていました。  やがて人々は自らを照らし温める清き太陽を崇め始めたのです。  柱を建て、獣の心臓を神に捧げる儀式が始まりました。  神官が心臓を器に置き、何やら呪文を唱えています。 「いや……心臓とか要らねえし……なんなら自分で作れるし……P○5くれ」 「密林ではようやく転売対策が始まったようね。手元に来るまではまだかかりそうよ」  この儀式を行った集団は栄えると言い伝えられました。  心臓は体の中心にあり、丸く、その赤さは太陽のようだと人々は考えました。  そう。人や獣には1つずつ、太陽の化身たる心臓が入っていると人々は考えるようになりました。  つまり神が人々や獣に宿っており、それを解放することが彼らの使命だと、悟っちゃまずいのに悟りました。  彼らが神の解放のため、他部族を襲い、獣を狩り尽くしたのは言うまでもありません。これだから古代人は野蛮で困る。  それが現在のダスクス人の系譜です。  しかし、彼らは自らの矛盾に苛まれる運命にありました。  自らも神を幽閉しているのです。  神を解放するためには自らをも殺す必要があります。  彼らはそれを選ぶことができませんでした。  彼らは無限に存在する神の化身を解放することを諦めました。  神の化身を解放することが不可能であると悟った彼らは、その不始末を罰するべく、他民族を数人ずつ生贄に捧げ、神への許しを乞うことにしたのでした。 「なんと野蛮で浅ましい。これが人類か」 「そんなものよ。私達のような高次の存在になるにはまだ時間がかかるわ」  やがて生贄を捧げることも辞めました。ぶっちゃけコストがかかりすぎるんですよね。なので獣の肉を丸く固めたものを生贄代わりにし始めました。  これがへーツェルという肉料理の原型とされています。  その後、人々は各地に散らばりました。  生贄を続けたロクサン人  広い平原に咲く美しい花に神を見出したヘルツォンラント人  豊かな森の恵みに神を見出したベルリナント人  不毛の氷の大地の下から取れる鉄に神を見出したアイゼナハト人  険しい山に神を見出したシエナ人  神の息吹がもたらした剣と酒を崇めるシヴァリア人  大海の果てに見える太陽こそが本物の神であるとしたデールグント人  山から運ばれる清廉な水が全ての起源であるとしたテオル人 ……などなど  人々の発展ぶりを見て安心した再びデミ様は眠りにつきました。
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