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神が兄弟喧嘩をすると厄介なことになるのです。
「そろそろ統治するか」
ヤルダとマリアーレを前にして、遂に我らが神は人類に介入することを決断したのです。
「我は空を守護する。マリアーレは人間を、ヤルダは海と大地を守護してほしい」
「兄者、それはいけない。兄者が空を守護していたら我らの手がいくつあっても足りない。兄者が海と大地を、空は我に任せてほしい」
「だめです」
だめじゃないが。
「父様、ヤルダ神の言う事も百理あるわ。ここはヤルダ神に従うべきよ」
「だめです」
ええ……。
こうしてデミ様が空を、ヤルダ様が大地と海を、マリアーレ様が人間を守護することになりました。
納得がいかないのはヤルダ様です。
デミ様がタライの水を溢して大洪水を引き起こしたり、太陽に毛布をかけて日を陰らせたり、太陽の出力をマックスにしたりと、やりたい放題やったせいで大地はとんでもなく荒れてしまうのでした。
マリアーレ様は人間たちを育てるのが上手く、たちまち英雄とされる人物を何人も作りました。
しかしヤルダ様はデミ様の不始末に追われ何もできません。
怒ったヤルダ様は西の大地と東の大地の間の海に魔物を放ちました。
魔物は海を征く人々の船を沈めました。
人々は船を出すことを諦め、大陸中を陸路で進むことを余儀なくされました。
更にヤルダ様は土から人間を作りました。彼らは土色の髪と土色の瞳を持っていました。
土人間たちは西の大陸に住みつきました。
「土から人を作るのはあまり感心しないわ」
「我に指図するな!」
土から人を作り続け、更にはドラゴンまで作り始めました。
ドラゴンには翼があるものとないものがいました。火を吹き、大地を削る爪と、岩を砕く牙、そしてメタセコイアのように大きな体を持つ怪物でした。
西の大陸はドラゴンと土人間が覇権を争うまでに両者の数が増えました。
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