下心が世界を救う

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(はぁ~今日もか) つきたくなる溜息をぐっと堪えて、僕は座席を立つ。 「どうぞ」 「あ、ええ」 (ヤレヤレ、今日はゆっくり出来ると思ったんだけどな) 微妙な表情を浮かべ、戸惑いながらつり革を放し、身重な女性は僕が座っていた席に腰を下ろす。 その間に、僕は気を遣わせないよう隣の車両に行く。 (なんだかなぁー) 正直、この一連の作業にはちょっと腹立たしく思っている。 折角の気持ちのいい朝なのに、これがあると少々気分が滅入る。 (気遣いとか、優しさってなんだろな) 隣の車両に来て、出口付近のつり革に掴まり、電車に揺られながら、 先の様な出来事があった時、僕はそんな事を考えるのだ。
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