プロローグ

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プロローグ

心の喜びと違い、外はどんよりと分厚い雲に覆われていた。 17年間住んでいた屋敷を振り返る。 娘が出ていくというのに、家族の見送りはない。 もちろん、追い出したのはあっちなのだから見送るのもおかしい話だが、それでも私は期待してしまう。 家族はいいとして、使えている主の1人が出ていくというのにメイドが誰1人もいないとは…… これには苦笑いをするしかない。 レンガ調で煙突が3つある古風の屋敷だけが、「いってらっしゃい」と聞こえもしない声で私を送り出す。   これには答えなければならない。「いってきます」と誰も聞いてくれない言葉を言う。 手持ちは、大きなバッグにおさがりの古いワンピース2つ。 そして、両親が唯一くれたプレゼントを売って得たお金、1万リンだけ。 姉が捨てようとしている物を売っても30万リンは下らないだろう。 相変わらず酷い扱いだと改めて思う。 行こうか。 名一杯自由を感じとるように空気を吸い込んでから始めの第一歩を踏み出す。 ここから、私エリスの平民ライフ&聖女ライフがスタートした。
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