第1章

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 このまちは、都心から西に向かう鉄道の沿線にある。  改札を出て駅前の雑踏を抜け、JRの高架を左手に見ながら、居酒屋やスナックがごちゃごちゃと軒を連ねる細い通りを歩いて行くと、突然目の前が開けて、大きな通りに出る。  通りの両脇にはマンションが並び、その隙間に、古びたアパートやコーポが申し訳なさげな風情でたっている。  コンビニに小児科、美容院。それに、人の姿が見えない古びた喫茶店や、窓に賃貸情報が貼られた個人経営の不動産屋――。  さらに行けば、幹線道路に突き当たるほんの少し手前に、中学校と区民センターが見えてくる。  どこにでもありそうな風景が連なるまちだ。  このまちで、わたしはあなたに出会った。  それが偶然だったのか、それとも必然だったのかなんて、多分、誰にも分からない。
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