彼女の首の傷

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「美晴、ここにいたら危ない。一緒に帰ろう」 「ここは……」 「学校裏の雑木林……からつながってる人外の世界」  そうだった。帰ろうとしたらスニーカーがなくて。朝倉さんたちの話を思い出して雑木林に向かったんだった。 ――「今日は学校裏の雑木林に近づいてはいけない、良くないモノが来るって。もう何年も、同じ日にいなくなった人が何人もいるらしいよ」「えっこわーい」  彼女たちは面白がって初めての実力行使に出たんだろう。私のスニーカーを雑木林に捨て、聞こえるように近くで話していた。  これからは持ち物にも手を出されるのか。  気が重くなる中、雑木林をさまよった。  林の中にぽっかり開いた広場。そこに、ぼろぼろになった靴を見つけた。 「……死にたい」  思わずつぶやく。履き替えようとしたとき、あの黒い手に追われた。  そして捕まって……夢を見ていたのか。 「私もここに長くは(とど)まれない。ついてきて!」  雅は焦っている。でも、その目には「友達を助けられる!」という希望が見えた。  勇敢な騎士のよう。  イラッとした。  私はつかまれた手を乱暴に振り払った。
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