彼女の首の傷

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 学校にはあっという間に着いた。  雑談していたクラスメイトが入ってきた私に注目する。思わず私は一歩下がる。冷や汗をかく。  次の瞬間、皆は笑顔になりわっ、と盛り上がった。 「おはよ!」 「おはよう美晴!」  皆が私に挨拶する。心底嬉しそうな笑みを浮かべて。 「おはよう篠崎(しのざき)!今日も元気そうだな」  先生までもが声をかけていく。  あれ、なんで私一歩下がったんだろう。  皆こんなにあたたかく迎えてくれるのに。  首をひねりながら着席。  誰もそこにある傷のことは触れなかった。見えてないのか、あえて触れてこないのか。  また傷に触る。やっぱり、ある。  授業で当てられた。簡単な問題だったから答えられた。だけど教室中の人がびっくりする。 「こんな難しいのよくわかったね!」 「さすが篠崎さん!」 「難関大学の入試レベルだぞ」  どう考えても小学生レベルの問題を解いただけ、なのに。  「すごい!」「さすが!」と騒ぐ皆は、一人また一人と立ち上がり、ついに教室中がスタンディングオベーション。両隣のクラスから何事かと人が集まり、皆が私を褒めてくれる。  これだけの人がこんなに褒めてくれる。  それなら……私はそれだけのことをしたんだろう。  きっと。  他の授業も似たようなものだった。先生たちは私に「特別な問題」を当てる。答えると褒め称えられる。  体育は創作ダンス。皆から「アイドルになれそう!」と言われた。特別に一人舞台の上で踊って皆をうっとりさせた。  その授業もすぐ終わり、放課後になる。
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