26人が本棚に入れています
本棚に追加
眩しい光に照らされて、私は目を開ける。
視界一面がピンク。プールの中から空を見ているみたい。
「助けに来たよ!」
上から雅の声がする。
反射的に起き上がろうとしたけどできなかった。雅が上から私の手をつかんで引っ張り出す。
私はピンクのジェル状の液体に浸かっていた。
どろどろした物質が腕をゆっくりすべり落ちていく。
見下ろすと汚れた制服が目についた。
なんて姿だろう。さっきまで最新流行のドレスを着ていたのに。
雅は真っ赤な顔をして引き上げ、私はどろどろが入った容器から転がるように外に出た。
冷たい床に私たちは降り立つ。雅が持つ懐中電灯以外は真っ暗な空間。どこかで機械音が低くうなっている。
「あれは幻を見せるの。全て夢だったの、美晴」
「夢?」
言いながら首筋の傷を触った。
傷はまだあった。
ただし、傷の中にはどろどろした物体が入っている。乾いた肉の感触はない。
ずぶずぶと指を入れたらどこまでも入っていきそうで、私は手を引き抜いた。
最初のコメントを投稿しよう!