名前

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富千子と書いて、ふち子さんと言う、私のよく知る知人のお話。 富千子さんは、香川富千子と言う、珍しい名前だ。 私「富千子だなんて、珍しい名前だよね、誰が付けたの?」 富「父よ、何代にも渡る、香川家の貧乏生活から、抜け出せる様にと   私に、千の富を手に入れられる様にって、付けたんだって。   千と言う字を入れておけば、たとえ千でなくても、10くらいの富は   手に入れられるんじゃないか、そう思ったらしいの」 私「へ~そうなんだ」ちょっと、ひょうきんな所が有った、富千子さんの   お父さんの顔を、思い出した。 富「千の富なんて付けるから、私は、ずっと貧乏なのよ。   典型的な、名前負けってやつよね」富千子さんは、ため息をつく。 私『確かに、富千子さんには、富と言う物は、一個も手に入らなかった。   そう、76歳の今だに、、、お気の毒だわ』 富「こんな名前、他にも居るのかしら?」 私「さぁ~コップの縁に腰掛けたり、ぶら下がったりしている   コップのふち子さんって言う人形は、知ってるけど」 富「コップのふち子さんね~人形と同じ名前なのか~   全く、父は、名前を付けるセンスが無いわね~」 そう言うが、富千子さんには、そんな父親に、よく似ている所がある。 だって、自分の長女に、喜び多い人生になる様にと 多喜と言う名前を、付けているんだもの。 ちなみに、自分は不細工だからと、次女には 真に美しい子に、なる様にと、真美と言う名を付けている。
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