神様はいませんでした

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 有里ちゃんはすごいね。これは何かあるたびにあんたが口にしていた言葉だけんど、私は、お世辞抜きにあんたのほうこそすごく完成された人間だと思うんよ。勉強もできて、料理も上手で、男どもからの人気もあって、だからこそあんたがどうしていつも死のうとするんか、私はきちんと理解できていなかったんかもしれんね。  たんぽぽの綿毛が、ふわり、ふわり、宙を舞っています。捕まえようと手を伸ばしてみても、やつは私を嘲笑うみたいにあちこちを逃げ回ったあと、そのままどこかへ飛んでいってしまうんです。あんたと私の関係は、ちょうど、綿毛とそれを捕まえようとする子どもみたいなもんなのかもしれん。
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