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結局、神様が返事をくれることはありませんでした。私を待っていたのは、からっぽの神社でした。ふわり、ふわり、綿毛が宙を舞っています。捕まえてやろうと手を伸ばし、ぐっと拳を握るけんど、そっと開いた手はなにも掴めていませんでした。ふわり、ふわり、綿毛は私を嘲笑うみたいに舞ったあと、本殿の祭壇のほうへ吸い込まれていきました。
あんたから電話が掛ってきたのは、ちょうどそのときでした。電話の向こうであんたは、新人賞を受賞したと嬉しそうに語っていました。そのとき私は、たしかにあんたの悪い部分がこの胃に入っている気ぃしたんです。私は、あんたをようやく食べることができたと思うんでした。
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