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どうしよう。
こんな時に限って、店長は13時からの出勤だ。
今は私と、アルバイトの先輩・江藤さんしかいない。
アルバイト2人で開店をするなんて人手不足も甚だしいが、駅から遠く離れた郊外の古本屋は求人を出してもなかなか応募者が来ないから仕方ない。
江藤さんを呼ばなくては。
江藤さんは24歳の文学部の大学院生で、メガネをかけたヒョロヒョロでガリガリの男性だ。
いかにも頼りない容姿だが、いつもハキハキと接客をしているし、背が低くて気の弱そうな私よりはナメられないと思う。
「どうされましたか」
隣から、江藤さんの上ずった声が聞こえてきた。
いつのまにか駆けつけてくれたのだ。
「こいつが買取金額190円って言っとるんやけど、おかしいやろ!!800円くらいするんやないか!?」
いやいや。漫画の全巻セットだって、人気シリーズでもない限り高く買い取れないのに、古い写真集が800円は有り得ない。
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