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「ごちゃごちゃ言わんで金額上げろや」
胸ぐらを掴まれた江藤さんは、顔が青ざめていた。
こわい。
たしかにこわいけど。
男と江藤さんを見ていて、違う感情が湧き上がってきた。
本でも物でも、普通に捨ててしまえば1円にもならない。処分費がかかってしまうことだってある。
しかし、リサイクルショップに売ればお金がもらえる。
買取金額がどんなに予想より低くても、お金が出るだけ有難いのではないか。
それに、高く売れたいなら今の時代フリマアプリだってあるし、自分でなんとかすればいい。古本屋で売ると決めたのはあなたじゃないか。
「あの!!!」
怖いけど、男に対する怒りを抑えられなかった。
男は目だけを私の方へ向けた。
その目は血走っている。
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