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呆然とする彼をよそに、魔王は更にのんびりと問う。
「題名がさあ、決まらないんだよね。いい案、無い?」
…『魔王』が自分の描いた絵に、良い題名は無いかと…『勇者』の俺に…!!
「っ、おかしいだろっ!!」
また勇者は叫ぶ。
「あんた勇者だろ。何かパッと、カッコいいの思いつかない?」
また呑気に返す、『魔王』。
頭を抱える勇者をよそに更に続ける。
「俺は画家になりたいと思ってるんだよ。部下もみんな、自分の将来のために旅に出るって言っていたしさ。ただ俺は学校に入りたいんだけど、まず書類審査で、描いた絵も一緒に提出することになって。題名は決めなくてもいいらしいんだけど、せっかくだし。」
『魔王』が、『画家』に。
『書類審査』で、『学校』に…
「…あぁ、頭が…」
「迷うよな、やっぱり…どうするかな…」
頭を抱える勇者の横で、魔王はズレた悩みを抱えたまま腕組みをする。
…まあ良い。自分も勇者稼業は辞めて別の道に入るつもりだった。
『魔王』が『画家』になって、魔物たちも大人しくなるならそれでいいじゃないか。
切り替えの早い勇者は深く考えるのをやめた。
自らの道を決め始めた魔王を見て、自分も将来を考えようとここに来たことを思い出した勇者。
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