アラーナはもう帰れない。

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 *** 「君ねえ、ちょっと食い意地張りすぎじゃないのかい?」  アラーナ達が、ウサギのようだと感じたその生き物は。血まみれになって死んでいく人間達を見て、一人ため息をついていた。  彼の前には何もいない。  それでも彼は、何かに語りかけ続けている。 「いくら久しぶりのご飯だからって、もうちょっと冷静になろうよ。この星の“素晴らしさ”を、地球にもう少し報告させてからの方が効率が良かったのに。急に連絡取れなくなったら、向こうがこの惑星を警戒してもう人をよこしてくれなくなるかもしれないよ?」 『ごめんなさいね、ネム。ちょっとがっつきすぎてしまったわ。でも、貴方がそこはなんとかしてくれるでしょう?声色変えて、彼女達の惑星に“問題なし”って通信を送るくらいわけないはずだし』 「そりゃそうだけどさー」 『じゃあ、いいじゃない。頼んだわ、ダーリン!』 「君と比べてこーんなにちっぽけな恋人を頼るとか!まったく、惑星サイズの奥さんを持つと苦労するよね」 『うふふ、それでも一緒にいてくれる貴方が大好きよ。……私はそろそろ、彼女たちをもう一回生き返らせて、堪能させてもらうから』 「可哀想にねえ。この惑星に来たばっかりに、何度も何度も生き返らせて殺され続けるなんて。しかも、本人の脳を読み取って、本人が“一番怖くて苦しいと思っている死に方”で殺し続けるんだから。その苦痛と恐怖が君の栄養になるのは知ってるけどさ」 『それでも、そんな私を愛してくれるんでしょう、ネル?これからもよろしくね』 「まったく、しょうがないねえ。じゃあ、僕は彼等の宇宙船のところまで行ってくるから」  何も知らない次の地球人たちが、再びこの惑星に降り立つまで――あと一週間。
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