詩「断罪」

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私は私を断罪する この雨の一粒一粒が 私の手の平からすり抜けていく 昔見た教室の外に広がる 小さな空だとしたら 私は私をどうして許すことができようか あなたの過去を否定したように 私は私の未来を否定する 不幸になりたくない それがあいつの口癖だった 頑固な寝癖を個性と息巻いていた手足の鎖に  乾杯を 私は顔を洗ってお前を夢に見るよ 果たして  …私は私の人生を生きられるだろうか。 その場にある空気を肺とは違う臓器で吸うこ とが、もしかしたら家族の条件かもしれない 。 煙のように 生きている間に 幻を追いかける前に 私は葉だ。 いつか枯れる。 月の見えない夜、 風すらも消えて、 私たちの隙間にある、 渇いた赤土の壁に、 梯子のような根が生えた。  久しぶりにあなたの夢を見て 久しぶりに 涙を流して 久しぶりに目を覚まし あなた の温もりなんて とっくに終電に置いてきた のに 傘を差して 私は今日も 何気ない顔 をして 人混みへ紛れていく ああ 私はとても悲しい 月が揺れている 私は鼻をすする 目が回る そのままぐるぐると目を回して 月が回って 地球が回って 太陽の周りを回って あなたの周りを回って 星と星がぶつかって 爆発して 光があなたにぶつかって 吐く息が白くなる度に 私の目はぐるぐると回り続けて 罪が私を私にする
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