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「ま、これで怜からのけん制もないし、ガンガン行けるわね?」
どこにですか!?
「藍、逃がさないわよ~?」
そう言いながら、両手をムカデみたいに動かして近づいてくるからーー。
「わぁ! 逃げる! 逃げるに決まってんじゃん!!」
「逃がさないって言ってるでしょう!?」
いきなり始まった追いかけっこに、途中から入ってきた雪ちゃんが唖然と眺めてる。
「ってか、お前ら練習は?」
さっきまであった涙はどこかに消えて、重たい気持ちも忘れちゃって……。
「歌え! 藍!」
お腹から声を押し出して、気持ちをメロディーに乗せてあたしは歌う。
あたしは『ニコイチ』を卒業したらしい。
おしまい。
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