スマイル100万円!

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スマイル100万円!

 彼女なし。  貯金もほとんどなし。  そして、今日、職も失った。  俺は公園のベンチに座って、「はあああ」とでっかいため息をつく。  職を失ったのは、端的に言えばクビになったのだ。  だけど、俺は悪いことはしていない。  社員の女性にセクハラを続けている上司に『お前は最低なクズ野郎だ』と言っただけだ。  その上司が上層部にも顔が聞くと知った時には、遅かったわけで。  でも、後悔はしていない。  していないけれど、短気は損気とはよく言ったもので。  二十七歳にもなって、自分の感情をコントロールができないのはマズイのだろうな。 「そりゃあ仕事も失うわけだよなあ」 「それでしたら良い商品がありますよ!」  ふと顔を上げれば、スポーツ刈りのガタイの良い男性が目の前に立っていた。  今まで誰もいなかったのに……。  男性は、俺を見てにかっと笑うとこう続ける。 「お客さん、いい商品があるんですよ~」  周囲を見ても、俺以外に誰もいない。  お客さんってのは俺だろうか。  なんか変なのに目をつけられたっぽいなあ。  そう思って立ち上がった時。  男性が何かを取り出した。  ブタの形の貯金箱だった。  だが、その貯金箱がやたらとデカい。  男性が両手でやっと持てるレベルのサイズだった。
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