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「高橋、クラスのみんなからの餞別だ」
最後のSHRにて、思わぬ言葉とともに担任に教壇に呼ばれて手渡された餞別はUSBメモリとクラスメイトから寄せ書きだった。私にも(ここまで一緒に過ごした仲なので)後日卒業アルバムを配布して頂ける予定になっているのだが、転校先で寂しくなった際の元気回復特効薬として、USBメモリも特別に餞別に含めて下さっていた。その粋な計らいに感動してしまったのは言うに及ばず。
転校発覚から最終登校日までは、本当にあっという間にだった。その期間が短期であり、かつ受験シーズン真っ只中だったからこそ、私のために時間を割いて準備をしてくれたことが純粋にうれしかった。みんなの優しさに、不覚にも決意を忘れて泣きかけてしまっていたのはここだけの話。
渡された寄せ書きには、仲良い子もそうでない子も思い出を絡めたメッセージを丁寧に綴ってくれている。みんなと一緒に過ごしたかけがえのない大切な思い出をたっぷり詰め込んでくれたプレゼントは何よりも嬉しい餞別であり宝物だ。心の底からみんなに感謝し、その場でみんなに深いお辞儀とともに熱いお礼を述べていた。
感激が先行し、何を口走っているか自分でも分からなくなりながら、必死で感謝の気持ちを伝えた。クラスみんなの前で気持ちを伝える場面を想定していなかったため、即興の大変微妙なお礼になってしまったことは心残りだった。とはいえ、例え下手だとしても自らの口で感謝を伝える機会を頂けたこと、そして逃げずに伝えることが出来たことは自分自身とても良かったと思っている。そんなこんなでお安い私はこれだけで十分達成感に満たされる。
ちなみにUSBメモリは、卒業アルバム係に任命されていた相馬くんが先生に話をつけてくれたため、卒業アルバム用に集めていたデータ集を特別に餞別で渡す許可が出たとのことらしい。相手を喜ばせるためなら全力を厭わない相馬くんらしい行動を最後まで見ることが出来て、本当に幸せな気持ちで満たされる。
転校を知った相馬くんから直接掛けられた温かな言葉が本当に本当にうれしかった。だからこそ、それ以上の優しさは何も望んでいなかった。だからこそ、相馬くんが私のために奔走してくれた事実はキラキラとした思い出として一生忘れることはないだろう。
急な時期の転校で、とても寂しいし、最後まで通えない悔しさもあった。けれど、それ以上にみんなの暖かさを感じて、心機一転がんばろうと決意できた。当初の予定通り、慣れ親しんだ学び舎を笑顔で後にすることに成功したのは、みんなのおかげに他ならなかった。
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