優しい夜につつまれたい

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肌に指をすべらせる つるつる なめらかな肌を指がゆっくりなぞっていく この感触がとても好き お風呂あがりにペリエを飲む ぐいっと飲む 男はちょっときゅうけい いまは日本酒がともだち 秋の夜長にグラスをかたむける 暗闇がここちいい 自分以外、誰もいない時間がやさしく感じる ずっと一緒にいた彼が去って、わたしはひとりぼっちになった 束縛のない時間 自分以外、誰もいない空間 さびしいと以前は思っていた でもなぜか、深呼吸できる自分がいる しとしと しとしと 窓の外を見れば、いつのまにか降りだしていた雨 雨のささやきが気持ちいい ふりかえると、ずっと彼にあわせてた。 そのことにいま気づいた。 彼と一緒にいることが、いつのまにか自然になって、彼と同化していた。 彼を好きなぶん、じぶんが二の次になっていた だから、どこか息苦しかった 恋よりも、大好きだった彼よりも、わたしはわたしでいることが好き 雨降りの音 窓から見える街灯のあかり 深夜のしずけさ のんびりもの思いにふける かけがえのない彼を失い、かわりに取りもどした、じぶんという存在 後悔がないとはいえない 好きだからこそ、せつなさは残る だけど夜の闇は、そんなわたしの心を少しずつ浸食していく いまは、そんなやさしい夜につつまれていたい
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