到着

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歩みを進めていると、山の中に長い階段と鳥居があるのが見えた。名前は黜切(おとぎり)神社というそうで、はるか昔から存在する神社だそうだ。 長い階段を息を切らしながら(特に広谷が)上がり、参道を歩いていくと、しっかりと手入れをされていて趣を感じさせる神社があった。 「おお、菊池くんかい?久しぶりだね。」 ちょうど中から袴を着た男性がでてきた。おそらくこの神社の神主であろう。 「お久しぶりです、斉藤さん。」 「そちらの2人は?あまり見ない顔だね。」 「彼らは僕の友達で、広谷と瀬戸って言います。オヒオミ祭を見に来ました。」 「へぇ……オヒオミ祭をねぇ……?僕は齋藤樹(さいとうたつる)。出会って早々こういうことを言うのはあれだが、君たちは相当変わってるね。」 「どうしてですか?」 予想もしなかった言葉に思わず疑問が口から出てしまった。 「まあ…オヒオミ祭ってのは変わった祭りだからねえ。全国的な知名度も高くないはずだし、わざわざ祭りを見に来る人なんて少ないよ。」 「少ない、ってことは前にもいるんですか?ネットで検索をかけてもぜんぜん見つからなかったんですが、どうやって?」 広谷がすかさず質問をする。 「まあね。回数的には両手に収まるほどだけど、特に若い人が多かったと思うよ。みんな知人の紹介とか、君たちみたいにここを知って来るんだ。詳しいことは僕もあんまり知らないけどね。もともと僕はここの人間じゃないから。」 「そうなんですか?」 「うん、僕の前任者が友人だったんだけど、死んでしまってね。かなり酷い状態で見つかったんだ。他殺ということはわかってるんだけど、結局犯人は見つかってない。まあ、こんな村じゃ、村人ぐらいしか犯人になり得ないけどね。だから僕はここで、彼を殺した真犯人を見つけるために日々奮闘してるのさ。」 齋藤さんは急に饒舌になり、センシティブな話題も気にせず自らの憤り具合を吐露しはじめた。そんな酷い殺人事件がこののどかな村で起きたということ、そして未だに犯人はこの村にいるかもしれないこと、それらを考えて思わず体が震えた。 「まあここで喋ってるのもなんだし、お茶でも飲んでってよ。」 そういって齋藤さんは俺たちを手招きした。菊池含め俺たちは遠慮しようかとも思ったが、結局は村の話や祭りについてを聞きたかった俺と広谷、2人の意見により、お邪魔をすることになった。
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