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───そして季節はまた巡って春。
怒涛の受験シーズン過ぎて、やっと落ち着いたと
いうのに今度は卒業を迎える。
その頃には百合ちゃんのおかげで少しずつ、他の
クラスの女の子とも話せるようになった。
私の声を聞くとやっぱり"アニメ声だね"ってみんな
言うけど、悪い意味で言ってるんじゃないみたい。
こんなことなら、もっと早くに勇気を出して、自分
から話しかければよかったなって思う。
だって、もう高校生活はあと少ししかないから。
そんなちょっとした後悔はあるけど、でも私の
最後の高校生活はぼっちじゃなかったから、これで
よかったんだ。
思わぬ誤解がきっかけだったけど、百合ちゃん
という初めての女の子の友達が出来た。
それに…初めての彼氏も。
鬼島君は最後まで鬼島君らしい。
クラスの女の子達が話しかけたそうにしてるけど
そんな反応なんて全く目に入ってないみたい。
本人も言ってたけど、無理をしてるとかじゃなくて
本当に一人で大丈夫な人なんだと思う。
その鬼島君が声をかけてくれたから、今の私が
あるんだ。
卒業式の後───
今までのことを考えながら教室で鬼島君を待って
いるとガラッとドアが開く。
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