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「亜衣っ…!?」
鬼島君の戸惑う声が上から聞こえる。
私らしくない行動だと思った。
自分で自分にビックリしてる。
だけど、ちゃんと伝えたいって思ったから。
ちゃんと私の声で。
そっと顔を上げて鬼島君を見た───。
「大好き」
いつもみたいな小さな声じゃなくて、しっかり
はっきり声に出す。
相変わらずドキドキはおさまらないし、恥ずかしくて顔は熱いしで大変なことになってる。
だけど声に出したら妙にすっきりしたような
そんな気持ちになった。
突然のことに驚いたのか鬼島君は一瞬ポカンとして
たけど、急にはぁっと息をついたと思ったらぐっと
頭に手を回される。
「だから、その声でそういうこと言うのは
駄目だろ。」
「…なんで?」
ゆっくりと距離を縮めてきた鬼島君は、唇が触れる
直前にポツリと呟いた。
「可愛い過ぎるからだ。」
…その"可愛い"は声のことだけじゃないって
思っていいんだよね?
そんな私の疑問は鬼島君のキスに消えた。
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