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それから文字で会話をするのは途切れて
授業中、鬼島君は怖いくらい静かにしてた。
先生や周りのクラスの子達は恐る恐るこちらを
見てたけど、そんな周りの視線なんて全く気に
なってないみたいに。
昨日、私に話しかけてきた男の子は、一瞬だけ
鬼島君を振り返って震え上がってから、肩身が
狭そうにしてる。
古典の授業が終わって、その後の授業も当然の
ように教科書を見せることになったけど
鬼島君がペンを手にとることはなかった。
ただ、黙って座ってる。
怒ってるのかな…?
さっきの会話の流れで、怒られるような覚えは
ないのだけど。
そんなことを考えているうちに午前中の授業は
終わってしまって、結局その日の授業はほとんど
頭に入ってこなかった。
お昼休みになって、そろそろ机を離してもいいかな
と鬼島君の様子を伺おうとしたら突然…
「ちょっと付き合え。」
───そう言って腕を掴まれてしまう。
返事をする暇もなく、半ば強引に教室から
連れ出されてしまう私。
右手にはこれから食べるはずだったお弁当。
左手には鬼島君の手。
呆気にとられている間にグイグイと手を引かれて
いつの間にか、そのまま屋上へと来てしまって
いた。
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