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体育祭×友情
それから鬼島君は、今までが嘘のように毎日
学校に来るようになった。
たまに遅刻してくることはあったけど。
ノートをとったりはしてないけど、授業は一応
受けているし、それだけ見てると他の生徒と
そんなに変わらないように思う。
ただ、存在感はすごい。
未だに鬼島君が教室に入って来るだけで、一瞬
クラスがしんと静まり返る。
でも本人は、やっぱりそんな周りの視線なんか
気にしてないみたいで、毎回私に軽く挨拶を
してくれた。
相変わらず声を出すことは出来ないけど、その
挨拶に小さく頷いて返すことは出来る。
それを見て鬼島君は少しだけ口元を緩めるから
何だかくすぐったい気持ちになった。
周りの人達は、私が絡まれているとでも勘違い
しているのか哀れみの目で見てくる。
鬼島君と違って私は小心者だから、周りの反応が
全く気にならないと言ったら嘘になるけど
それでも、嬉しかった。
───だって初めて出来た友達だったから。
お昼休みになって、もう当たり前となってしまった
屋上に二人で向かう。
それが、この頃の私の一番楽しい時間だった。
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