体育祭×友情

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「私も何で校則違反なのかはよく分からないけど 鬼島君にはピアスが似合うと思う。」 「ありがとよ。」 素直に感想を言うと、鬼島君はぶっきらぼうに そしてどこか照れたように返してくれた。 くしゃりと髪をかきあげる仕草は、妙に男の子 っぽい。 髪の間から覗くピアスは、やっぱりキラキラと 光ってる。 「でも…」 「何だよ?」 その先の言葉を口にしていいのか躊躇ってしまう。 お弁当を食べるお箸を止めてチラリと様子を 伺うと、鬼島君はじっとこちらを見つめていた。 睨まれているわけじゃないと分かっていても 切れ長の瞳の、鋭い視線は心臓に悪い。 「興味がないかもしれないけど…私は 鬼島君が体育祭に出てるところを見たいな。」 恐る恐るそう口にすれば、一瞬、驚いたように 鬼島君の目は丸く見開かれた。 何だかとっても珍しいものを見てしまった気が する。 次の瞬間やや乱暴に、また髪をくしゃっと かきあげた鬼島君は視線を反らす。 「その声でそういうこと言うのは反則だろ。」 前髪から覗く目元は微かに赤い。 もしかして照れてる…? そう思ったら私はとたんに恥ずかしくなってしまう。 照れが移ったのかもしれない。
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