体育祭×友情

5/12
前へ
/113ページ
次へ
「だ、だって、想像しちゃったんだもん。 鬼島君は運動神経よさそうだし。」 私達の間に、なんとも言えない空気が流れる。 何度か言われた"可愛い声"という言葉を思い出して しまって、顔が熱くなった。 それを誤魔化すようにまた箸を持ったら、鬼島君は ポツリと呟く。 「まぁ、足は速い方だけどな。」 「そうなのっ?」 予想が当たってたことが嬉しくて、つい過剰に 反応してしまった。 私は運動が苦手だから、鬼島君を羨ましく思う。 リレーに出たらきっと大活躍するんじゃないかとか そんなことを勝手に考えていたら、鬼島君は ふっと小さく笑いを溢した。 「そんなに俺が体育祭に出てるとこを見たいのか?」 「…あっ。」 たぶん私の考えていることが顔に出てたんだと思う。 気付けばやや前のめりになっていたし、無意識の こととは言え、恥ずかしい。 どんな顔をしたらいいのか分からなくて焦って いると、鬼島君はまた口を開いた。 「日下部がそう言うんだったら出てもいいけど。」 「えっ?」 「ただし、条件がある。」 鋭い切れ長の瞳がしっかりと私を捉える。 一体、どんなことを言われるのかと構えて いたら─── 「俺のことを声を出して応援すること。」 予想外のことが耳に入ってきた。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加