体育祭×友情

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そして迎えた体育祭当日───。 お天気は清々しくらいの晴天で、予定通り競技は 進んでいく。 私が参加した綱引きは、残念ながら決勝で敗れて しまって準優勝となった。 でも、うちのクラスは割りと運動が得意な人が 集まっているのか、成績は優秀で気付けば最後の リレーを残してトップと僅差で2位についてる。 つまり、リレーで1位になれば優勝できるわけだ。 各クラスのリレーの選手がグラウンドの中心に 集まっていく中、鬼島君はふと私の方へ駆けて くる。 体操着を着ている鬼島君は、何度見ても新鮮で ついついじっと見てしまう。 そんな私の前で、体操着の裾を捲り上げて汗を 拭き始めるから慌てて視線を反らした。 だって…お腹が見えちゃう。 すごく引き締まったお腹が。 「約束覚えてるよな。」 汗を拭き終わった鬼島君は、切れ長の瞳を真っ直ぐ 向けながら私に聞く。 約束と言うか、勝手に話を進められた気がしない でもないけど今更そんなことは言えなくて小さく 頷いた。 すると、鬼島君はふっと軽く笑う。 「俺、日下部が応援してくれないと本気出さねぇ から。」 「…っ!?」 「つまり、うちのクラスの命運は日下部に かかってるわけだ。」 足は速い方なんて言ってたけど、鬼島君はうちの クラスで1番速かったらしく、アンカーを 任されてる。 だから本気を出してもらわないとうちのクラスは 負けてしまうわけで…。 戸惑う私を残して 「じゃ、行ってくる。」 ───鬼島君はリレーのスタート位置に駆けて 行ってしまった。
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