体育祭×友情

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そしてついに、先頭の人のすぐ後ろまで追い付いた 鬼島君。 でも、なかなか抜くことが出来ない。 確か先頭を行くその人は、隣のクラスで有名な 陸上部のエースだったはず。 さすがに簡単にはいかないみたい。 そのまま他の人達を引き離して、二人はゴール へと向かって行く。 あと少し…あと少しなのに抜くことが 出来ない。 始めは祈るような気持ちで見ていたのが、だんだん 力が入っていく。 「あっ…!」 もう数十メートルでゴールという所まで来て しまった。 ぎゅうっと自分の手を握ってしまう。 心の底から何かが急にぐっと上がってくる。 それを何て言ったらいいのか分からない。 とにかく、熱い何かが込み上げてきた。 私は思わず前に乗り出す。 「頑張って鬼島君っ…!!」 ───気付けばそう、大声で叫んでいた。 自分で自分の声の大きさにビックリしてしまった けど、みんなの声援に紛れてしまう。 安心したような、どこか残念なような気持ちに なったその時、鬼島君は最後の最後にまた加速して なんとゴール直前で先頭の人を追い抜いてしまった。
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